
ファミリーレストランで、かわいい配膳ロボットを見かけたことはありませんか?障害物や人を避けながら、指定されたテーブルに料理を届ける様子が人気を呼んでいます。
この配膳ロボットは、なぜ人や障害物にぶつからず、料理をこぼすこともなく、スムーズに店内を移動できるのでしょうか。今回はデータサイエンスを生かした最先端のモノづくりについてご紹介します。

ロボットはモノづくりの工場などを中心に導入されてきましたが、最近では飲食業や観光業でも活躍しています。その他にも、自動で家中をきれいにしてくれる掃除ロボットや、倉庫で重たい荷物を運ぶ自律型のロボット、災害発生時に危険な地域で救助対象者を探してくれるドローン型ロボットなど、さまざまな場所や場面で人々の生活を支えています。
少子高齢化や働き方改革が進む日本において、ロボットは私たちの暮らしをより安全で快適にするカギをにぎっているといえます。

こうした自律型のロボットは、「機械学習」と「センシング」の技術を組み合わせてできています。例えば配膳ロボットは、店内のマップや障害物の位置、人の動きなどの膨大なデータをあらかじめ学習(機械学習)させた上で、リアルタイムの状況を3Dカメラやセンサーで認識(センシング)することで、止まったり曲がったりといった動作が可能になります。
物理的な本体であるハードウェアと、動きを制御するソフトウェアの両方によって、ロボットがスムーズに動いているのです。

ロボットに高度な動作をさせるためには、数学と物理に関する基礎知識が欠かせません。例えば、ロボットに奥行きを認知させるためにはカメラ画像を基に奥に向かって伸びる2本の直線とその角度を認識させる必要があり、角度を認識させるためには、三平方の定理に基づく計算が必要です。また、さまざまなセンサの中からどれを取り付ければ、より精度の高いデータが集められるかを判断するにはセンサの動作原理を理解する必要があり、その動作原理を理解するためには力や電気など物理の知識と技術を習得しなければ難しいでしょう。
データを分析するだけでなく、データの集め方からモノづくりをデザインすることを「エンジニアのデータサイエンス/データエンジニアリング」といいます。

システム理工学部
宝田 隼 准教授

私たちが日常生活の中で利用するさまざまなモノやしくみは、どういった原理で動いているんだろう、と思ったことはありませんか?スマートフォン、車、飛行機などがどのようなしくみでできているのかを学ぶだけでなく、自分で作り出す技術を身に付けられるのが理工学系学部の魅力です。
私はセンシングの先端技術を利用し、人の指先のように繊細な力加減でお弁当を盛り付けられるロボットを研究中。みなさんもモノづくりの最先端を一緒に創ってみませんか?

関西大学で 学べる学部は?
システム理工学部
安全で質の高い生活をめざして、持続的に発展を続けるための高度で信頼できる『システム=しくみ』を創造します。
- 特徴的な学びは?
-
- 電気電子情報工学科では2020年度からデータサイエンティスト養成プログラムをスタート
- プログラミングや機械学習の知識を横断的に学習
- 2・3年次生がチームを組み、PBL(課題解決型プロジェクト)に挑む
- 4年次には連携先の企業でインターンシップを体験(2023年度 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ/2023年度 株式会社 ARISE analytics)
- 機械工学科でも2022年度から機械データサイエンス教育プログラムをスタート
- キャンパスは?
-
「千里山キャンパス」がシステム理工学部のキャンパスです。文系・理系合わせて10学部の学生がともに学ぶ、緑に囲まれた活気あふれるキャンパス。大阪都心部からのアクセスも良く、充実した学生生活を送れる絶好の環境が整っています。
アクセスマップ⇒
- 将来はどんな形で活躍できる?
-
モノづくりに精通した本格的なAI・IoT系の技術者として、さまざまな分野で次世代のシステムづくりを担う活躍が期待されます。
活躍が期待される分野
- あらゆる分野の製造業
- 情報通信業
- 技術コンサルタント
- 大学院に進む人はどれくらいいる?
-
2023年度は、数学科で10%、物理・応用物理学科で35.6%、機械工学科で44.3%、電気電子情報工学科で32.3%の学生が、それぞれ大学院に進学しています。学部で基礎を学んだ上で、大学院でより専門的な内容を学ぶことで、それらを応用する力を養うことができます。
- データサイエンスに関する研究設備はある?
-
「IoTセンシングスタジオ」という施設を備えています。人体統合計測システムとして、高性能モーションキャプチャーやアイトラッカー、機械学習サーバなどを設置しています。